事業承継の背景と売り手の想い
この度、北部九州エリアにおける訪問看護事業のM&Aが無事に成約しました。

売り手様は多角経営を行う事業会社です。その一柱として訪問看護事業を行っていますが、現在の体制では本事業の成長には限界があると感じていました。事業を次のステージへと進めるためには変革が必要だと考えたとき、そこで働く看護師たちが、より働きやすく自身のスキルアップやキャリア形成ができる環境を整えることが重要だと判断されました。その結果、本事業を、病院や医療分野に強みを持つ企業に引き継ぐことが最善であるとの判断に至り、今回のM&Aを進めることとなりました。

買い手の事業拡大とシナジー
一方の買い手様は、医療コンサルティングを主軸としながら、全国各地で病院やクリニックを譲り受け、経営に深く関与することで医療サービスの質向上や運営の効率化を図ってこられた企業様です。特に九州地区での事業拡大を重視されており、すでに同地域で訪問看護事業を展開されていたため、今回の案件はスムーズに検討を進めることができました。

繊細な調整が求められたM&Aプロセス
今回のM&Aで特に重要だったのは、従業員の皆様への理解促進でした。本件は売り手様が日々の実務のほとんどを現場の責任者に一任されていたため、買い手様がM&Aの検討を進めるにあたって必要な情報収集や質疑応答などは、現場の方々に行っていただく必要がありました。そのため、どのタイミングでM&Aの事実を伝えるかが大きな論点となりました。

また、通常のM&Aでは、売り手様が譲渡後も一定期間対象事業に関与することで、従業員の方々へ新しい体制への移行を徐々に促し、安心感を与えながら引き継ぎを進めるケースが多く見られますが、本件は譲渡後すぐに売り手様の手を離れることになるため、従業員の皆様にどう受けとられるのかが、非常にデリケートな問題となりました。

買い手様は大企業であり臨機応変な対応が難しい面もありましたが、最大限に寄り添った対応をしてくださったおかげで、従業員の皆様もM&Aによる事業承継を深くご理解くださいました。経営権移管前に建設的な話し合いができたことで、事業の継続性に対する不安を払拭することができました。この一連の対応は、対象事業にとって、今後の事業発展のための非常に大きな一歩となるでしょう。

 

 

 

 

 

事業承継は、経営者様だけでなく、そこで働く従業員の皆様の未来にも深く関わる重要な決断です。弊社では、このように様々な背景を持つM&A案件において、最適な解決策をご提案できるよう尽力いたします。事業承継に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。