先日、内科クリニックの承継先が見つかり、無事に成約となりました。
今回は、出資持分の定めのない医療法人(持分なし医療法人)を、個人の開業希望ドクターに引き継いでいただきました。

承継までの経緯
当クリニックは地域に根差し、患者様からの信頼も厚く、安定した経営を続けていました。しかし、都心部と比べると買い手が見つかりにくいという地域的な課題がありました。実際に、この承継が実現するまで約3年近くの期間を要しました。売り手様は、この立地の特性をよく理解されており、譲渡条件を非常に検討しやすい内容に設定してくださっていたため、希望されるドクターが見つかってからは、スムーズに交渉を進めることができました。

持分なし医療法人承継の特殊性
一般的に、事業会社のM&Aや持分あり医療法人の譲渡では、株式や持分の譲渡対価として売却益を得る形をとります。しかし、今回のケースでは譲渡する対価(株や持分)が存在しません。
そのため、売り手側から買い手側への経営権の移管(理事・社員の交代)を行うことを契約の主目的とし、売り手側は、譲渡対価を得るのではなく、医療法人から適正な退職金を受け取り、退任するという流れをとりました。

複雑な手続きと専門知識の重要性
医療機関の承継においては、通常のM&Aにはない、いくつかの複雑な手続きや注意点が存在します。

売り手側が、譲渡後も管理医師として継続勤務する場合の継続要件や退職金支給額との関係、出資金や基金の取り扱い、行政手続きなど、適切な処理や手続きが求められます。これらを誤ると行政指導や法に抵触するリスクがあるため、医療機関の承継に関する正確な知識と豊富な経験を持つ専門家のサポートが不可欠となります。本案件においても、要件を一つ一つ丁寧に確認し、関係者間で調整を重ねることで、スムーズな承継を実現できました。

医療機関の承継は、地域医療の継続という観点からも、重要な意味を持ちます。 特に本件のような持分なし医療法人の承継は、より専門性が高く、適切なアドバイスなしに進めることは困難です。弊社では、医療機関のM&Aに関しても多くの実績がございますので、承継をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。